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JOURNAL

第二十回『銀座の仕立屋落語会・与いちクロークルーム』開催のお知らせ

第二十回『銀座の仕立屋落語会・与いちクロークルーム』開催のお知らせ

12月の銀座の仕立て屋落語会は2度目となる金曜日の夜開催。「春風亭与いち」さんの登場です。 話題の連載「春風亭与いちの二つ目日記」も五回を数え、独演会やご自身の落語会を精力的に開催されています。日々進化する若手落語家のお噺をぜひご堪能ください。 日時:12月22日、金曜日 18時45分開場 19時開演 終演20時30分ごろ 場所:ザ・クロークルーム 出演:春風亭与いち 開口一番 世話人:山本益博 会費:2,500円(税込)現金のみ 申し込み、お問い合わせは info@thecloakroom.jp まで (落語会の受付はメールのみ)

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『美食通信』 第三十六回 「エクレア好き――シュークリームでもなく、モンブランでもなく――」

『美食通信』 第三十六回 「エクレア好き――シュークリームでもなく、モンブランでもなく――」

 先日、あるテレビ番組で、究極の二択として「シュークリームかモンブランか」というテーマで街行く一般市民にアンケートし、どちらが多数だったかを当てるという企画を放映していました。筆者はシュークリームだろうと予想しました。  最新のトレンドとして紹介されていたシュークリームはカスタードクリームの上にバタークリームの塊を乗せたもので、最近よく見かけるバターを挟んだどら焼きとかの高級ヴァージョンなのが分かりました。モンブランは相変わらず、和栗とか、出来たら何分以内に食さないといけないとか、一時期ブームだった延長路線だったように感じました。シュークリームは「クロシュー」といったクロワッサンに様々なクリームを詰めたものなどヴァリエーションに富んでいるのに対し、モンブランは高級化にしか未来はないように思われたからです。結果は予想通り、シュークリームの勝ちでした。  思えば、シュークリームもモンブランも比較的手ごろに楽しめる身近な馴染み深い洋菓子だからこそこの二択に選ばれたのでしょう。シュークリームは今でも中のクリームがカスタードか生クリームかが基本でコンビニでも必ず見かけます。一方、モンブランは筆者の子供の頃はカップ型のスポンジケーキの上の真ん中にシャンティクリームを搾り、その周りに栗なのか芋なのか怪しげなきんとんを糸状に絞り出し。半分に切った栗の甘露煮を乗っけたものが定番でした。色が黄色から濃厚な茶色に変わったのは、フランスで有名なアンジェリーナのモンブランが銀座プランタンで紹介されるようになってからでしょう。スポンジではなく、メレンゲの上にクリームがたっぷり。濃厚な栗のペーストがこれでもかとそれを覆いつくしたフランスの半分のサイズでも食するとなかなかヘビーなお菓子でした。本格的なフランス菓子はとにかく甘いと実感した次第。  ですので、筆者など街の洋菓子店の昔ながらの怪しげな手作りの似非モンブランの方が懐かしく食してみたいと思います。コンビニのスイーツも多彩で美味しいのですがやはり大量生産の味なのです。それはシュークリームにしても同じ。  しかし、筆者がその二択でひっかかったのは「シュークリームかモンブランか」ではなく、「シュークリームかエクレアか」ではないかと思ったからです。おそらくエクレアはシュークリームの一ヴァージョンに過ぎないとの認識なのでしょう。パリで人気のエクレア専門店「レクレール・ド・ジェニ」が高島屋に出店したのですがあっけなく十年もせず撤退してしまいました。  しかし、筆者はシュークリームとエクレアは全くの別物と考えます。同じシュー生地であるにもかかわらず、まず形状が異なる。これも重要かもしれません。シュークリームの場合、シューが半分に割られていたり、切れ目が入れられ、クリームが詰められている場合、蓋を外して、蓋にクリームを付けて食し、残りをナイフとフォークで食する。切れ目がない場合はナイフとフォークを使って、左側から少し切り取って食し、クリームだけを食しながら、なるべく形を崩さないように食するといったマナーがあります。  それに対して、エクレアは「レクレール・ド・ジェニ」の小ぶりのエクレアもそうでしたがフィンガーフードの趣があります。筆者の遠い記憶なのですが、上諏訪に住んでいた小学校低学年の時、父がお土産で買ってきてくれたエクレアがそうでした。シューにコーティングされていたのもチョコレートではなく、コーヒーかキャラメル味でカスタードクリームの味もそれに合わせたもので小学生にも小ぶりでパクッと食べれて、二つ、三つは食べれたものです。  さらに凝った作りのものは、神戸に引っ越して、小学校最後の二年を過ごした社宅が神戸市の東のはずれで数メートル先は芦屋市という立地。父が通勤で使っていた阪神芦屋駅の近く、警察署の隣に「アンリ・シャルパンティエ」があったのです。もう、半世紀前になりますか。今でこそ全国展開でパリにも研究所を持っているほどのブランドになっていますが、当時はまさに街の洋菓子屋さんとして日常使いするケーキ屋さんだったのです。もちろん、他の店に比べると値段は高めで、併設されていた喫茶コーナーで珈琲を註文するとクロワッサンが付いてきて、さすが神戸・芦屋だなあと子供ながらに驚いたものです。  おそらく難しいフランス語が付いていたのでしょう。母が「毛虫のケーキ」と呼んでいた筆者の好物のケーキがありました。記憶が正しければ、長方形のガナッシュ系のケーキの上に小さなエクレアが乗っていたように思うのです。当時のアンリ・シャルパンティエのケーキはすべてが小ぶりでそのくせ値段は高い。しかし、味は抜群で隣にもう一軒洋菓子屋があったのですがそこで買うことはありませんでした。  神戸時代、筆者の父が銀行員だったので、取引先に有名な菓子店が多くありました。お土産の定番だった「ヒロタのシュークリーム」、きんつばで有名な「本高砂屋」、チョコレート菓子の老舗「ゴンチャロフ」などなど。ゴンチャロフなどは父に連れられて工場見学させてもらいました。酒会社も多く、菊正宗にも連れて行ってもらったのです。盆暮れだけでなく、事ある毎に付け届けがあり、ワインも送られてくることが多々ありました。母方の祖父が静岡県の酒造組合に勤め、母の弟の叔父が合同酒精に勤めていましたのでこの頃からワインには興味があったのです。  さて、ヒロタの影響かは分かりませんが、筆者はシュークリームにはカスタードクリームが似合うように思うのですが、エクレアには何といってもシャンティクリームだと思うのです。シャンティクリームとは砂糖の入った生クリームのことです。それは他ならないシューにコーティングされたチョコレートとの相性がシャンティクリームの方が良いからです。チョコパイを思い出していただければ一目瞭然。あれはバター系のクリームですがホワイトクリームで卵黄系のクリームではありません。  ですので、コンビニなどで迷うことなくエクレアを買いたいところですが、どうも中身がカスタードクリームのものばかりで何となく躊躇してしまいます。思い起こせば、子供の頃、生クリームシューを売っている菓子店ではエクレアもシャンティクリームで、シンプルながらチョコと生クリームの絶妙なハーモニーに感動したものです。お値段も手ごろな方ですし。冒頭のモンブランではありませんが、洋菓子の高級化と複雑化は決して悪いことではないと思いますが、シンプルに美味しい手頃な手作りの洋菓子こそ、今必要とされているものではないでしょうか。 今月のお薦めワイン 「イタリア赤ワインの隠れた逸品――アマローネ――」 「アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラシッコ2017年 DOCG アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ モンテ・サントッチョ」 13020円(税別)  この連載も三クール目が終わろうとしています。この三年間、フランスワインとイタリアワインについてシステマティックに概観して参りました。今期のクールの最後は補完的にイタリア赤ワインの隠れた逸品について紹介させていただこうと思います。イタリアワインもフランスワイン同様、二大産地、ピエモンテ州とトスカーナ州を押さえておけばほとんど事足ります。  しかし、フランスワインにシラーを主として造られるローヌ地方の「コート・ロティ」という赤の逸品がありますように、イタリアワインにも他の州でイタリアワインを代表する銘酒が造られています。  それがヴェネト州のヴェローナ県のヴァルポリチェッラで造られている「アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ」です。ちなみに、県都ヴェローナはシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の舞台として有名です。  アマローネとは苦い(アマロ)に由来する苦みを意味する言葉で、イタリアワインの名称の基本、葡萄品種を表わすものとは異なる例外に当たります。ワインとしては主としてコルヴィーナ種を用いるヴァルポリチェッラの製法違いのワインとなります。  それが葡萄を収穫後平均三ヶ月ほど陰干し(アパッシメント)し、半分近くの水分を取り除き、糖度の上がった葡萄を発酵。最低二年以上の樽熟成と六ヶ月以上の瓶内熟成を経てリリースされるワインです。辛口で「力強い、ブルゴーニュワインのような魅力を引き出す」(アンダースン『イタリアワイン』)と言われています。  今回ご紹介する「モンテ・サントッチョ」の造り手、ニコラ・フェッラーリはアマローネを代表するカンティーナ「クインタレッリ」で働き、2006年、自身のワインを造るためこの「モンテ・サントッチョ」を創業。現在もクインタレッリのサポートを続けているヴァルポリチェッラへの強い探求心に溢れる醸造家です。  このクラシッコ2017年はトノーで三十ヶ月熟成。セパージュはコルヴィーナ40%、コルヴィノーネ30%、ロンディネラ25%、モリナーラ5%。濃いルビー色。干したプルーンやバルサミコの香り。後味にスパイスを感じる伝統的なアマローネの味わいを継承することに意を注いだ逸品です。  手間暇のかかる稀少性の高いワインですので少々値が張りますが、この機会に是非一度お試しいただければ幸いです。 ご紹介のワインについてのお問い合わせは株式会社AVICOまで 略歴関 修(せき・おさむ) 一九六一年、東京生まれ。現在、明治大学他非常勤講師。専門は現代フランス思想、文化論。(一社)リーファーワイン協会理事。著書に『美男論序説』(夏目書房)、『隣の嵐くん』(サイゾー)など、翻訳にオクサラ『フーコーをどう読むか』(新泉社)、ピュドロフスキ『ピュドロさん、美食批評家はいったい何の役に立つんですか?』(新泉社)など多数。関修FACE BOOOK関修公式HP

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『春風亭与いちの二ツ目日記』第五回「昇進」

『春風亭与いちの二ツ目日記』第五回「昇進」

11月の1日に弟弟子の春風亭いっ休が二ツ目に昇進しました。 やっとです。通常、入門から四年ほどで二ツ目になりますが、いっ休は約六年かかりました。古今亭志ん朝師匠ならとっくに真打ちです(それはそれで異常ですが)。実は二ツ目昇進に落語の技術云々は関係ありません。その時のタイミングのみで若干伸び縮みするもので、順番が来れば誰でもなれます。そして近年、あの忌まわしいコロナの影響でこのように伸びきってしまったのです。私はコロナ禍に入ってすぐ、入門から四年経たずに昇進となりました。なぜそんなに早まったのか、後から聞いたら、その昇進を決める落語協会の理事会(理事の師匠方による月に一回の会合)で、「上の前座さん達は働きがいいから早めの昇進でいいんじゃないか。」という話しが持ち上がったのだとか。これは謙遜でもなんでもなく、私はまるで働きの悪い前座でした。さほど必要じゃない時にずっといて、肝心な時にどっか行ってるような、耳かきの棒みたいな奴でした。ところが、同期が数年に一人出てくるような、いわゆる"スーパー前座"。楽屋での立ち居振る舞いから、鳴り物の技術、何をやらせても一級品。師匠方が思わず祝儀切ってしまいそうになるほどです。その出来具合があまりにも凄いので、なぜか「その同期の与いちもできる奴」扱いしてもらえました。よーく見るとそうでもないのに、ずば抜けたセンターがいることで全員可愛く見える大所帯アイドルグループのあれと同じです。そんなことでの昇進でしたから、すぐ下の後輩達から私は忌み嫌われました。そりゃそうです。入門時期がさほど変わらないそんな奴より、二年ほど長く前座をやることになったわけですから。私が後輩の立場だったら与いちのお茶にケシカス入れます。この間貰ったお茶に立っていたのは本当に茶柱だったのか心配になってきました。二ツ目の披露目は毎日緊張です。特に私は初めの十日間、すぐ後の出番が師匠一之輔だったので気が気じゃありませんでした。初日の高座に「粗忽の釘」という師匠から教わった噺を演り、入れ替わる時に「俺がこのままやり直してやりてぇよ」と言われました。自分でもかなり酷い高座だったのは忘れられません。次の十日間は、私の出番がなんと市馬師匠・正蔵師匠交互出演の後。後ですよ?普通は色物の方の後の出番で、その後に真打ちがお出になるんです。それどころか、我が落語協会の会長・副会長の後。幸せなパワハラです。初日は市馬師匠。降りて来られる時に師匠御自ら高座返し。拍手を煽りながら盛り上げてくださいました。後から聞いたら三十年ぶりの高座返しだったそう。そこから自分が何を喋ったのかは覚えていません。未だに夢に見ます。市馬師匠が降りて来られて、驚いて目が覚めます。ほぼ初恋と一緒です。そんな刺激的な毎日をいっ休も過ごしているはず。皆様も是非、昇進したてのキラキラした高座を観に駆けつけてください。ご祝儀もお忘れなく。※私は常時受け付けております。 略歴春風亭与いち1998年4月5日生まれ2017年3月、春風亭一之輔に入門。翌年1月21日より前座となる。前座名『与いち』。2021年3月1日より二ツ目昇進。     

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『美食通信』 第三十五回 「セカンドワイン考――トップブランドとは別物と心得るべし――」

『美食通信』 第三十五回 「セカンドワイン考――トップブランドとは別物と心得るべし――」

 先日久しぶりにレ・フォール・ド・ラトゥールを飲む機会を得ました。1996年と良いヴィンテージの古酒でした。レ・フォール・ド・ラトゥールはご存知のようにボルドーの五大シャトーの一つ、ポイヤックのシャトー・ラトゥールのセカンドワインです。  このセカンドワインという代物。ボルドーでは今や、さして有名でないシャトーさえ何処でも造っているという状況。それどころか、サードワイン以下も造る有名シャトーは数知れず。  筆者がボルドーワインに熱を上げていた一九九〇年代後半、確かにセカンドワインは多く造られていました。しかし、同じ五大シャトーのムートン=ロートシルトがセカンドワインを造り始めたのが1993年ですのでまだ猫も杓子もという訳ではありませんでした。  また、セカンドワインはどれもこれも十把ひとからげといった具合でどれもこれも1980円か2980円といった値段で売られていました。五大シャトーのオー=ブリオンのセカンド、バーン=オー=ブリオン(現在はル・クラランス・ド・オー=ブリオン)でさえ2980円で買えたのです。  その理由は簡単で、トップブランドのワインがさほど高価でなかったからです。当時、80年代のオフヴィンテージの84年、87年などは五大シャトーでも一万円以下でデパートのワイン売り場で購入可能でした。これもオフヴィンテージですが1992年のシャトー・ラトゥールを銀座三越のセールで5000円で買ったこともありました。  筆者がボルドーワインを追求しようと決めたのは、一九九四年にアークヒルズのサントリーホールの向かいにあった「ル・マエストロ・ポール・ボキューズ・トキオ」で飲んだムートン=ロートシルトの1984年に感銘してのことでした。上記のように1984年は残念なヴィンテージだったのですが、特にこの年はメルロが良くなかったようです。そこでムートンではこの年、カベルネ・ソーヴィニヨン100%で造ったと言われています。  ご存知のように、ボルドーは複数の葡萄をブレントするのが特徴で、ブルゴーニュがピノ・ノワール100%で造るのと対照を成しています。五大シャトーが格付けされたメドックではカベルネ・ソーヴィニヨンが主でメルロ、カベルネ・フランが続き、補助品種としてマルベック、プティ・ヴェルドが用いられています。また、シャトー・ペトリュスなどを産す右岸のリブールヌのワインはメルロが主で、カベルネ・フランが続き、既述の他の品種が補助品種となっています。  ムートンはポイヤック、いや広くメドックの中でもカベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高く80%ほどと言われていますがそれでもカベルネ・フラン、メルロ、プティ・ヴェルドを用いています。  本当に1984年のムートンがカベルネ・ソーヴィニヨン100%だったかは分かりませんが、ちょうど十年経ったところで飲み頃だったせいもあり、さらにグランメゾンだけあってワインの状態が良かったのでしょう。なかなかの美味でした。しかも9000円だったのです。高級レストランでさえ、一万円以下で五大シャトーが飲めたのです。まあ、ル・マエストロはとりわけワインの価格が良心的だったのは事実ですが。  つまり、あえてセカンドワインを飲む必要性がなかったのです。ちょっと奮発すれば五大シャトーが買えたし、レストランでも飲めたのですから。大阪の某ホテルのメインダイニングでシャトー・マルゴーの良いヴィンテージの1978年を25000円で飲んだ記憶もあります。今やシャトー・マルゴーは最新ヴィンテージで十万円ですから桁違いです。  そんな中、唯一例外だったセカンドワインがレ・フォール・ド・ラトゥールでした。実際、グランメゾンのワインリストにも普通に掲載されていました。というのは、シャトー・ラトゥールがグレイトヴィンテージの場合、三十年は寝かさないとその本領を発揮しないと言われていたからです。  もちろん、三十年物のラトゥールをグランメゾンなら揃えていましたが大変高価なものになります。さらに中堅どころのレストランでは揃えるのも大変でしょうし、価格的にも不釣り合いになります。というか、三十年も待っていられないというのが本音で、それに対して、レ・フォール・ド・ラトゥールなら半分の十五年で飲み頃になるという訳です。  レ・フォール・ド・ラトゥールはこうした事情からか1966年から造られており、ラトゥールが造られる「ランクロ」と呼ばれる区画とは別の区画の葡萄が三分の二、ランクロの葡萄が三分の一用いられ、早くから飲めるように醸造されています。  つまり、レ・フォール・ド・ラトゥールは最初から別の目的で造られたラトゥールとは別のワインと考えるべきなのです。  しかし、多くの方がセカンドワインを飲んでトップブランドを垣間見られたつもりになってしまうように思われるのです。これは危険で、セカンドワインからトップブランドを予測するのは専門家でさえ至難の業と言えましょう。  サン=ジュリアンの第二級、シャトー・レオヴィル=ラス=カーズのセカンドワインだったクロ・デュ・マルキは別の畑で造られていますので、現在別ブランドして販売され、ラス=カーズの若葡萄で造られているル・プティ・リヨンをセカンドワインとしています。  トップブランドが桁違いの高価なワインになってしまった現在、セカンドワインなら何とかというケースもあるかと思います。その場合、やはり別物であるという認識を持って飲まれることをお勧めします。そして、出来る限り同じ価格で買える格下のシャトーやブルジョワ級のトップブランドを買われることをお勧めします。トップブランドにこそ、そのシャトーの真髄が、そのアペラシオンの特徴が最良の形で表現されているのですから。  レ・フォール・ド・ラトゥールの1996年はまだまだ寝かせることも出来そうな見事な出来でした。果実味が生かされ、その熟成感を楽しむタイプのワインです。ラトゥールはもっとタイトでタンニックなワインで古武士のような凛とした佇まいが素晴らしい。  レ・フォール・ド・ラトゥールほどその独自の存在感を有するセカンドワインは他にない。筆者はそう考えるのです。  今月のお薦めワイン 「トスカーナのボルドータイプのワイン――ボルゲリ――」 「フェルチアイノ ロッソ 2018年 DOC ボルゲリ ジョヴァンニ・キアッピーニ」 6900円(税別)   ボルドーにメドックとリブールヌの二つのタイプのワインがあるように、イタリアワインのボルドーに比較されるトスカーナ地方のワインもまた、二つのタイプに分けることが出来ます。それはキャンティを生み出すサンジョヴェーゼ種とその亜種(ブルネッロ種など)から成るワイン群とまさにボルドースタイルのワインを造るべく、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロを導入したワイン群。  このボルドースタイルのワインのパイオニアとなったのがサッシアイアです。1944年、シャトー・ラフィット=ロートシルトのカベルネ・ソーヴィニヨンを植えたのが始まりのようです。当初は規格外でしたのでヴィーノ・ダ・タヴォーラ扱いでしたが高額でしたので「スーパータスカン」と呼ばれていました。他にもオルネライアなど有名なワインが後続し、1994年にはDOCボルゲリを名乗ることが出来るようになり、サッシアイアは単独でDOCボルゲリ・サッシアイアを獲得。トスカーナの新たなスタイルのワインとしてその一翼を担うようになっています。  今回ご紹介するのはジョアンニ・ピアッキーニが造るボルゲリ。1954年にマルケ州から移り住んだピアッキーニ家は1995年までは野菜とオリーブを作っていましたが、この年より葡萄を栽培。2000年よりワインを販売しています。畑はオルネライアの隣と良好な立地。 「フェルチアイノ」はカベルネ・ソーヴィニヨン50%、メルロ40%、サンジョヴェーゼ10%というセパージュ。ボルゲリのボルドースタイルワインには補助品種として、サンジョヴェーゼやシラーを用いるカンティーナが多いです。  ボルドーよりはやや赤みがかった濃いルビー色。香りはボルドーに比べるとスパイシーで果実の甘い香りが強い。複雑な味わいはボリューミーでボルドーよりは濃厚でアフターに甘やかさが残る感じ。熟成しても美味しいが早くからも飲めるタイプ。  この機会にボルドーのようでボルドーでないボルゲリ独特の美味しさを是非ご堪能下さい。 略歴関 修(せき・おさむ) 一九六一年、東京生まれ。現在、明治大学他非常勤講師。専門は現代フランス思想、文化論。(一社)リーファーワイン協会理事。著書に『美男論序説』(夏目書房)、『隣の嵐くん』(サイゾー)など、翻訳にオクサラ『フーコーをどう読むか』(新泉社)、ピュドロフスキ『ピュドロさん、美食批評家はいったい何の役に立つんですか?』(新泉社)など多数。関修FACE BOOOK関修公式HP

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第十九回『銀座の仕立屋落語会・たま平クロークルーム』開催のお知らせ

第十九回『銀座の仕立屋落語会・たま平クロークルーム』開催のお知らせ

11月19日の銀座の仕立て屋落語会は映画「ゆとりですがなにか インターナショナル」が話題の「林家たま平」さんの出演です。人気も実力もぐいぐいと鰻登りのたま平さんのお噺、お聞き逃しなく。 第十九回『銀座の仕立屋落語会・たま平クロークルーム』 日時:11月19日、日曜日 12時45分開場 13時開演 終演15時ごろ 場所:ザ・クロークルーム 出演:林家たま平 開口一番 世話人:山本益博 会費:2,500円(税込)現金のみ 申し込み、お問い合わせは info@thecloakroom.jp まで (落語会の受付はメールのみ)

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『春風亭与いちの二ツ目日記』第四回「神頼み」

『春風亭与いちの二ツ目日記』第四回「神頼み」

最近、何かと上手くいかない。一,二年に一度、こういう周期が来る。公衆トイレでトイレットペーパーが予備も含め全て無くなっていた事がここ一週間で二度あった。二回ともポケットティッシュ等持ち合わせていなかったので仕方なく、扉を少し開け、周りに人がいないことを確認しながら、隠密のように隣の個室に移動し事なきを得た。高座に上がり、まくらを振っている最中にお客さんに話しかけられたことは一週間で三度もあった。話しかけてもいい雰囲気を出してしまっている自分も悪いのだろうが、あれはとにかくやり辛い。「がんばれ!」言われなくても頑張る。お金もらってるし。「与いち!」知ってる。めくりにでっかく書いてある。「最高!」聞いてねえ!なによりだ!上手いこといなすことができれば良いのだが、そのまま話し続けようとしてくる輩に当たると、「誰か代わってくれ」という気持ちになる。そして誰も代わってくれないから泣きたくなる。これはいかんと思い、行ってきました。伊勢神宮。こういう時は神頼みしかありません。もちろん、外宮と内宮。両方参拝しました。外宮に着くと、なにやら仰々しい雰囲気。ベージュの警備服に菊の紋。それを着た男性がおよそ30人。「何かあるのか」とそのうちの一人に尋ねてみたら、秋篠宮さまが海外渡航をされるにあたってその為の参拝とのこと。なるほど。どこに行かれるのだろうとスマホで調べてみたら確かに出てきた。「秋篠宮さま、ベトナムに無事到着」ん、、、?"到着"?これから伊勢神宮にいらっしゃるのではないのか?と、尋ねてみたら、「実はこのようなことは良くありまして、今回も代理の方が参拝されます」とのこと。いや、もう面倒くさくなってないか?とは思っても言えず。せっかくなので、その代理の方々を拝見することに。参道の周りに護衛の方々が立ち、他の参拝客を一時的に止める。遂にその一団がいらっしゃった。一番立派な格好をされた、恐らく代理の方が先頭の一つ後ろ。ポジションで言うとトップ下。香川真司の位置。同じ黒スーツの方がその両脇と、後ろに二人。その周りをベージュの方々が囲むような形。フォーメーションで言うと、4-2-3-1のダブルボランチだ。これはサッカーでも守りの堅い位置取り。サッカーファンの私にはたまらない陣形だ。むしろ秋篠宮さまより珍しい光景を見ることができ、ご利益アップ。それから伊勢神宮に祀られている神様全てにお賽銭を5万円ずつ(嘘)入れてご挨拶させていただきました。いわゆる"パワースポット"と呼ばれる箇所も全てまわり、1500円の御札にも5万円払い「釣りは要らない」とお伝えしました(嘘)。そして早速ご利益がありました。このコラムをもう少しで書き終えられそうなのです。みなぎっているのが自分でも分かります。先程、手が濡れている状態でスマホのパスコードを一発で解除できました。間違いありません。東の落語家で今一番パワーを持っているのが私でしょう。あなたとどこかで会ったら、握手でも肩車でもなんでもして、パワーのお裾分けをして差し上げましょう。その時はどうぞお賽銭も忘れずに。 略歴春風亭与いち1998年4月5日生まれ2017年3月、春風亭一之輔に入門。翌年1月21日より前座となる。前座名『与いち』。2021年3月1日より二ツ目昇進。

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『美食通信』第三十四回 「ディジェスティフのすすめ――グラッパなどいかが――」

『美食通信』第三十四回 「ディジェスティフのすすめ――グラッパなどいかが――」

     フランス料理などワインを飲みながら食する料理において、アペリティフ即ち食前酒を嗜む習慣は日本でも定着してきたように思われます。しかも、昨今それらはシャンパーニュを理想とするスパークリングワインというのが定番です。筆者がフランス料理を始めた半世紀近く前はアペリティフと言えば、マティーニなどのショートカクテルの強いお酒、あるいはスペインの酒精強化ワインのシェリー、クレーム・ド・カシスを白ワインで割ったキールなどでした。シャンパーニュをグラスで供することは稀で、ドゥミなりボトルで頼むのがマナーでした。おそらく、グラスでのサーヴィスは炭酸が抜けてしまうのが嫌だったのでしょう。しかし、ペアリングのように皆が一時にブテイユを空けてくれるなら、シャンパーニュを供するのも悪くありません。また、シャンパーニュ愛好家が増えたこともあるかと思います。さらにソムリエは元来お酒のサーヴィスの一環でしたので、バーテンダーが取る資格という意味合いもあります。ソムリエという地位が一般に認知される過程で、バーテンダーの果たした役割は大きい。アペリティフにおけるカクテルからシャンパーニュへの移行はその歴史的過程を表わしているとも言えましょう。  しかし、フランス料理におけるお酒の飲み方にはさらにディジェスティフ即ち食後酒があります。食前酒があるのですから食後酒があって当たり前といえば当たり前。食中酒がワインということになります。しかし、どうもこちらの方はあまり嗜まれる方がいらっしゃらないのが現状です。まあ、日本人は西洋人に比べアルコールに弱い方が多いので、ワインまでで精一杯というのもあるかと思います。しかし最近、筆者はディジェスティフが普及しないのは飲む場所の問題ではないかと思うようになってきました。そう、食事が終わったテーブルで食後酒を飲むのはあまり好ましいことではないのではないか、と。シャンパーニュから始まり、ワインを飲みながら何皿もの料理を平らげ、デセールを食し、エスプレッソを飲んで一息ついている席でさらに何かお酒を飲みたくなるでしょうか。  実際、本当のグランメゾンにはまずウエイティングバーがあり、そこでアペリティフを飲んだ後、食事のテーブルへと移動します。さらに食事が済んだあと、さらに場所を変えてデセールやシガーのサーヴィスがあったのです。部屋が三つあった訳です。筆者がパリで訪れたグランメゾンでもそこまでやっていた店はありませんでした。むしろ、神戸にあった「アラン・シャペル」はまさに三か所移動したのを覚えています。顧客の末席に入れていただいていた「ル・マエストロ・ポール・ボキューズ・トキオ」は「バー・マエストロ」を併設し、バーとレストランを往復する形でした。  今やそのようなレストランは皆無に近いでしょうから、どうすれば良いのか。そう、日本人得意の「河岸を変える」、まさにレストランからバーへと移動すれば良いのではないでしょうか。そうすれば、色々なお酒を食後酒として楽しめる。というのも、筆者はディジェスティフにブランデー(コニャックとアルマニャック)やマールと言ったフランスの蒸留酒よりイタリアのグラッパが飲みたくなるからです。もちろん、フレンチの店でもグラッパを置いている所もありますが、やはりカテゴリーミステイクな感じです。バーに行けば、コニャックであれ、グラッパであれ、好きなものを堂々と頼んで楽しむことができます。  筆者にそれを気づかせてくれたのは、渋谷の東急文化村の「カフェ・ドゥマゴ」で日参するかのごとくディナーで持ち込みのワインを開けていた時のことでした。顧客は持ち込み料無料でしたので、筆者もその一人に認めていただき、人と会うのをドゥマゴにしていたのです。その頃、大変お世話になった渋谷の画廊のマダムがいらして、マダムとご一緒するときはまず、マダム行きつけの駅のすぐ近くのショットバーで待ち合わせをし、ドゥマゴで食事した後、再びそのバーに戻って、また一杯といったのが常でした。バーの店主はフレンチ出身でワインにも詳しく、筆者はそこでグラッパ・サッシカイアに出会いました。コニャックも何種類も置いていて、それらもいただいたのですが、サッシカイアのグラッパの方が気に入りました。グラッパはワインの搾りかすを発酵・蒸留したもので、「粕取りブランデー」と言われるものに当たります。フランスではマール、イタリアがグラッパです。サッシカイアはトスカーナ地方、ボルゲリ地区で造られるボルドースタイルの「スーパートスカン」と呼ばれるワインの元祖として高名な銘柄でそのワインの搾りかすから造られたグラッパなのです。  グラッパには樽をかけた茶色のものと無色透明なものがあります。マールも同様です。筆者はやはり樽がけしたものの方が好みです。しかも、マールよりグラッパの揮発性の高い香り高さ、ちょっと捻った感じの香りが好きです。味わいにもサッシカイアのグラッパなどには甘やかさがあり、マールにはそれがありません。まさに好みの問題かと思いますが、それを選べるのがバーの良いところです。  先日、久しぶりに渋谷に出かけ、ちょくちょく伺うビストロで食事しました。時間が早かったので、食後に駅前から文化村近くに移転した件のショットバーに出かけました。店主も健在でグラッパをいただきました。来年三十周年とのことです。筆者が最初マダムに連れられて伺ったのが一九九六年だったと思いますので開店二年目だったのか、と。文化村も再開発で休館。ドゥマゴも閉店してしまいました。時の流れを感じます。サッシカイアのグラッパも高価になってしまったので銘柄を変えたそうですが、やはり茶色の美味しいグラッパでした。  また、この原稿を書いている少し前、静岡でも「カワサキ」で食事した後、近くの「バー・コード」でグラッパをいただきました。こちらは元々梯子酒で、ルイ・ラトゥールのヴォーヌ=ロマネをボトルでお安く飲ませていただいたので、折角バーに来たこともあり、もう少しお金を使わせていただかないと申し訳ないと思い、グラッパをお願いしたら、二種類珍しいものを出して下さいました。ご一緒したNシェフはマールを頼まれましたが、やはりグラッパの方が自分は好みで、二種類のうち造り手が亡くなり今は造られていないというグラッパの方が俄然自分好みでした。したたか酔ってしまっていて、銘柄をメモするか写メを撮ってくるのを忘れてしまったのを後悔しています。  食事のあと、バーに河岸を変えて、好みのディジェスティフをいただく。これまた、贅沢なひと時ではありませんか。その際、グラッパを選択肢の一つに加えていただければ幸いです。 今月のお薦めワイン 「ボルドーの双璧・リブールヌのワイン―メルロが主役――」 「シャトー・フォンプレガード 2017年 AC サンテミリオン グランクリュクラッセ」 7200円(税別)  ブルゴーニュにニュイとボーヌがあるように、ボルドーにも代表的な二つのタイプのワインが存在します。それらはカベルネ・ソーヴィニヨンを主たる葡萄とするメドックやグラーヴのいわゆる「左岸」のワインとメルロを主とする「右岸」のリブールヌのワインです。 メドックは格付けされ、五大シャトーで有名です。他方、リブールヌはボルドーで最も高価なワインと目されるシャトー・ペトリュスがポムロールにあります。  リブールヌのワインで押さえておくべきアペラシオンはまず、サン=テミリオン。1955年に開始され、度々改定を行なっています。メドックの格付けが1855年のままであるのとは対照的。改定の度、論争を巻き起こし、2022年には初回以来ツートップだったシャトー・オーゾンヌとシャトー・シュヴァル=ブランが脱退し、代わりにシャトー・パヴィとシャトー・フィジャックがツートップになりました。ちなみに、ACサン=テミリオンを名乗れるワインはサン=テミリオン市の他に古層(ジュラード)と呼ばれる八つの村が含まれます。  続いて、ペトリュスを産むポムロール。こちらは意識的に格付けを行なわないようにしています。ペトリュスを最上にラ・コンセイヤント、レヴァンジル、ラフルール、トロタノワ、ヴュー=シャトー・セルタンを含む十ほどのシャトーがトップ・シャトーと言われています。  両アペラシオンには共に衛星地区(サテライト)と呼ばれるそれに準じるワインを生み出すアペラシオンがあります。サン=テミリオンにはサン=ジョルジュ、モンターニュ、リュサック、ピュイスガンの四つの衛星地区があり、ポムロールにはラランド=ド=ポムロールがあります。  あと、フロンサックとカノン=フロンサック。一時期、ペトリュスを所有するJ.P.ムエックス社が多くのシャトーを所有し、その可能性に挑戦していました。  上記三大地区のワインを探されると良いでしょう。また、近年注目されているのはサン=テミリオンに接するカスティヨンです。ワイン高騰の折、手頃な価格で上質のワインが楽しめるアペラシオンです。  今回はサン=テミリオンのグランクリュクラッセに格付けされているシャトー・フォンプレガードを紹介させていただきます。プルミエBのラ・ガフリエールの西隣りと恵まれた立地。2004年以来アメリカの実業家夫妻が所有し、2017年はメルロ95%、カベルネ・フラン5%とメルロの醍醐味を楽しめるワインです。2013年にはエコセールの認証を受けています。また、ミシェル・ロランがコンサルタントと今風のサン=テミリオンをこの機会に是非お試しあれ。 ご紹介のワインについてのお問い合わせは株式会社AVICOまで 略歴関 修(せき・おさむ) 一九六一年、東京生まれ。現在、明治大学他非常勤講師。専門は現代フランス思想、文化論。(一社)リーファーワイン協会理事。著書に『美男論序説』(夏目書房)、『隣の嵐くん』(サイゾー)など、翻訳にオクサラ『フーコーをどう読むか』(新泉社)、ピュドロフスキ『ピュドロさん、美食批評家はいったい何の役に立つんですか?』(新泉社)など多数。関修FACE BOOOK関修公式HP

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ショールカラーでラグランショルダーのベルテッドコート

ショールカラーでラグランショルダーのベルテッドコート

 ストリートファッションやブランドのロゴを前面に打ち出したいわゆる派手目なトレンドも落ち着いてきたようです。その揺り戻しでシンプルで上質なものやシルエットや生地のドレープで魅せる品の良いファッションがじわじわと広がっているのだとか。 私たちのようなオーダーのお店だと「元からそういうもんでしょ」と思わないでも無いですが嬉しい流れです。  今シーズンは久しぶりに新しいデザインのコートを作りました。ショールカラーでラグランショルダー、ベルテッドのロングコート。ゆったりとしたシルエットで贅沢に生地を使って綺麗なドレープが出るように心がけました。たっぷりとしたガウンのような雰囲気でかる〜く着れます。チェスターコート系だとかっちりしすぎるかな、というときに柔らかい雰囲気だけどしっかり品があるので重宝すると思います。  タイドアップしたスーツに着るというよりはニットの上に羽織ったり、ノータイのジャケットスタイルに合わせて着るのがいいですね。生地はいわゆる厚地のコート生地よりはフランネルやカバートクロスなどの軽めの素材の方が綺麗なドレープが出るので相性が良さそうです。正にシンプルで上質、素材の良さやドレープで勝負する今お勧めしたいコートになりました。是非一度お試しください。

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第十八回『銀座の仕立て屋落語会』わん丈クロークルーム開催のお知らせ

第十八回『銀座の仕立て屋落語会』わん丈クロークルーム開催のお知らせ

10月の『銀座の仕立屋落語会』は飛ぶ鳥を落とす勢いが全く収まらない「三遊亭わん丈」さんの登場です。わん丈さんにこの落語会に出演いただけるのも残すところあと2回。この貴重な機会を是非お見逃しの無いようにお願いいたします。 前回ご好評いただいた秘密の大喜利も第二回、今回は「仮縫い」です、お楽しみに。 日時:10月15日、日曜日 12時45分開場 13時開演 終演15時ごろ 場所:ザ・クロークルーム 出演:三遊亭わん丈 開口一番 世話人:山本益博 会費:2,500円(税込)現金のみ 申し込み、お問い合わせは info@thecloakroom.jp まで (落語会の受付はメールのみ)

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『春風亭与いちの二ツ目日記』第三回「姪っ子」

『春風亭与いちの二ツ目日記』第三回「姪っ子」

私は赤ちゃんが大好きだ。何よりも好きだ。この世のあらゆるジャンル(食・ファッション・娯楽など)全てを総合しても1番好きだ。決して危ない意味ではなく。あの丸いフォルム。すべすべのお肌。屈託のない表情。全てが愛おしい。食べたい。もちろん危ない意味ではなく。本当に赤ちゃんが好き過ぎて、YouTubeでチャンネル登録しているのは赤ちゃんユーチューバーばかり。閲覧履歴がほぼ肌色だ。春風亭一之輔チャンネルか、赤ちゃん系しかフォローしていないので、たまにオススメで流れてくる師匠と赤ちゃんを見間違える時がある。順番に流れて来ると分かるが、フォルムが似ている。決して悪い意味ではなく。そんな赤ちゃん大好きな私に先日、姪っ子が誕生した。これは一大事件だ。今まで街中で見かけても、遠くから眺めることしかできなかった赤ちゃん。私は、自分が汚い人間だという認識があるので、決して赤様には近寄らず、親御さんに席を譲るなどして、その場を離れていた。しかし、その赤ちゃんがかなりの身近に誕生したのだ。それも三親等しか離れていないとなると、こちらから望まざるとも触れ合うことができる。「みてね」という身内だけの写真共有アプリで毎日の様子が確認できる。可愛いが押し寄せてくる。QOLが。クオリティ オブ ライフが爆上がりです。落語の出来が良くなかったり、「あれは失敗だったな〜。」なんて日も、姪っ子の事を考えると全てチャラになります。私の、やってしまった時の合言葉は「姪っ子」です。そんな毎日ですから、何事にも腹が立たなくなりましたし、ふわっふわでハートフルな事しか考えられなくなりました。福島第一原子力発電所の処理水問題ついてどう思いますか?「福島県産の農水産物を食べるな」などの声には、福島出身の母を持つ私はひどく腹を立てております。安全基準を十分に満たしているものを、イメージだけで"汚染水"などと。風評被害も甚だしい行為に、怒りのあまり夜も眠れません。この間食べた、福島県産の桃もウニもめちゃくちゃ美味かった。間違いなく、騒いでいる連中が作った物より遥かに美味しいです。そこで、私が思いついた処理水の正しい放出先は、尖閣諸島周辺です。分かりやすく、バケツに「しょ り す い」と書いて、大人数で手分けして方々に撒きましょう。そうすれば連中は近寄らなくなるでしょう。はい、「姪っ子」!!! 略歴春風亭与いち1998年4月5日生まれ2017年3月、春風亭一之輔に入門。翌年1月21日より前座となる。前座名『与いち』。2021年3月1日より二ツ目昇進。

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第十七回『銀座の仕立屋落語会・与いちクロークルーム』開催のお知らせ

第十七回『銀座の仕立屋落語会・与いちクロークルーム』開催のお知らせ

9月の落語会は「春風亭与いちの二ツ目日記」の連載でお馴染み「春風亭与いち」さんの登場です。今回は初の試みとなる金曜日の夜開催。日曜日は来場しにくかった皆様もこの機会にぜひご来場ください。お待ちしております。 第十七回『銀座の仕立屋落語会・与いちクロークルーム』 日時:9月22日、金曜日 18時45分開場 19時開演 終演20時30分ごろ 場所:ザ・クロークルーム 出演:春風亭与いち 開口一番 世話人:山本益博 会費:2,500円(税込)現金のみ 申し込み、お問い合わせは info@thecloakroom.jp まで (落語会の受付はメールのみ)

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『美食通信』第三十三回 「ミネラルウォーター考――やっぱり硬水が好き――」

『美食通信』第三十三回 「ミネラルウォーター考――やっぱり硬水が好き――」

 いつの頃からか日本人も常にミネラルウォーターを飲むようになりました。特に夏は冷たいものが飲みたくなりますので、筆者などはサンペレグリノを必ず購入します。ただし、水をそのまま飲むのが苦手な筆者は液体の濃縮珈琲をサンペレグリノで割って飲んでいるのですが。  筆者が子供の頃はミネラルウォーターなど誰も飲んでいませんでした。ミネラルウォーターと言えば、見かけるのは瓶に入った「富士ミネラルウォーター」くらいで何故水を売っているのだろうと不思議に思ったくらいです。そのうち、浄水器なるものをどの家庭でも設置するようになりました。蛇口に取り付けるタイプとシンクの脇に置かれた装置に水を通してその装置から出てくる水を飲むタイプがあったと記憶しています。水道水が美味しくなくなったのとアパートなど集合住宅は屋上にあるタンクから水が供給されますので錆などが混じって濾過する必要が生じるようになったからでしょう。それでもまだ基本水道水を用いていた訳であって、ミネラルウォーターは普及していませんでした。駅や学校など公共施設には冷たい水が飲める機械が設置されていましたし、新幹線にも設置されていました。  筆者がミネラルウォーターを常飲するのを意識するようになったのは、やはりパリに海外研究に出かけることになったからでしょう。フランスの水道水は飲んでも大丈夫なのですが石灰分が多いと言われ、ミネラルウォーターを飲むようにしていました。ただ、気軽なビストロなどでは「キャラフ・ド・ロ」といって水道水を瓶などに入れて無料で出してくれますし、カフェのエスプレッソにはチェイサーの水が付いてきます。「ガズーズ(炭酸)、ノンガズーズ(無炭酸)」と聞かれるのは高級店でこれはもちろん有料です。  昨今、日本のグランメゾンもミネラルウォーターオンリーの店が増えているようです。いつぞやメディア露出で有名だったシェフが水を有料にしていて、それを批判した客に暴言めいた反論をし、失脚したこともありました。彼の店が粉うことなきグランメゾンだったら何の問題もなかったのでしょうが。  パリで驚いたのはスーパーなどでミネラルウォーターを買うと、冷やしているものと冷やされていないものでは値段が違っていたことです。フランスでは珍しい軟水のヴォルヴィックを飲んでいたのですが冷えていると5フラン(約100円)、冷えていないのは1フラン(約20円)だったと記憶しています。  この時、筆者の恩師の故シェレール教授が一緒に食事すると必ずサンペレグリノを所望されるのに遭遇します。フランスの炭酸系ではペリエが有名ですが確かにちょっと埃臭いというか独特の風味があり、それに比べるとイタリア製ながらサンペレグリノは本当に美味しい。筆者もファンになりました。フランス人の炭酸系の定番はバドワで値段も安かったように思います。今では日本のグランメゾンでガズーズは何があるのですかと尋ねるとバドワが選択肢に入っている場合があり、筆者などは驚いてしまいます。というのは、少なくともパリではバドワは庶民の水であって、グランメゾンで出しているところなど皆無だったからです。  それから日本に戻ってからもサンペレグリノを好んで飲むようになりました。最初は瓶で買っていたのですがかさばるのと値段も高いのでペットボトルに切り替えました。ただ、ペットボトルはやはり輸送の過程で炭酸が抜けてしまうのか、圧が弱いように思われます。先日テレビで某タレントさんが同様の発言をされていて、やっぱりと思った次第です。そこで現在はコスト的にはやや高くつくのですが缶のサンペレグリノを購入しています。こちらは密閉されていますので、開けたての爽やかな炭酸の刺激にはたまらないものがあります。また、硬度が700以上あり、ペリエの倍くらいあります。ちなみに、無炭酸ですがフランスを代表するヴィッテル、エヴィアンも硬度はペリエと同じ300前後です。痩せる水として有名なコントレックスになると硬度は1500を超えて、飲むと確かに鈍く重い感じがします。炭酸系のミネラルウォーターの爽やかさは炭酸が弾ける感覚だけでなく、鉱物の金属的なテイストにあると言えましょう。  ちなみに缶のサンペレグリノは330mlです。缶の問題は飲み切れない場合。そこで筆者は330mlのペットボトルのエヴィアンを買って飲んでしまい、空のペットボトルにサンペレグリノの残りを入れておくようにしています。  またその後、ソウルや台北にも何度か出かけることがありましたが、どちらもミネラルウォーターを飲むことが推奨されています。これらはパリとは異なり衛生的な問題らしいのですが、コンビニでご当地ミネラルウォーターを飲もうか、エヴィアンなど外国製にしようか迷ってしまったりします。ただ、炭酸系はないようで、空港やホテルのラウンジでも無炭酸はご当地ものでも炭酸はほぼペリエでした。  思えば今、日本のホテルではビジネスホテルクラスでもミネラルウォーターが部屋に置いてあるのではないでしょうか。パリに最初出かけた際、ホテルに着いてすぐまずは水を買いに出かけたのをよく覚えています。スーパーもコンビニもなく、最寄りのメトロの駅近くのキオスクで買うことが出来てホッとしたものです。キオスクはソウルでもよく見かけました。もちろん、ソウルや台北のホテルの部屋にもミネラルウォーターは必ずおいてありますので探す心配はありません。というか、両都市ともコンビニが日本以上に点在していますので何の不便もないのです。ただ、レストランではミネラルウォーターを註文する必要が生じます。また、庶民的な飲食店では湯冷ましのお水を出してくれるかと思います。  振り返るといつの間にか、自宅でもミネラルウォーターを飲むようになっていました。冷蔵庫には2Lのペットボトルが常備され、母と一緒に近所のスーパーに水を買いに出かけたものです。筆者は日本の軟水のミネラルウォーターが余り好きではありません。両親も亡くなり、一人暮らしになり、2Lのペットボトルは不要になりました。さて、沸かして珈琲で飲むしか用途の無い無炭酸のミネラルウォーターをどうしたものか。水道水も試してみましたがやはり美味しくない。日本の軟水は無味乾燥な感じだし。そして行きついたのがパンナでした。パンナもまたイタリア、しかもサンペレグリノと同じトスカーナ地方のミネラルウォーター。しかも、現在はサンペレグリノ社の傘下にあります。飲んでみて柔らかく、しかも味わいがあります。珈琲を入れても美味しい。硬度は100を少し超えるくらい。日本では100以下を軟水と呼ぶそうですから、ぎりぎり硬水といったところでしょうか。これがいい塩梅で。  ワインはフランスですが、水はイタリア。それが筆者の好みです。 今月のお薦めワイン 「ピエモンテの伏兵――バルベーラとドルチェット――」 「バルベーラ・ダルバ スーペリオーレ 『ヴォルプタ』 2018年 DOC ボスコ・アゴスティーノ」 5100円(税別)   イタリアワインでブルゴーニュに相当するのがピエモンテ州のワインであることはすでに言及してあります。ブルゴーニュワイン、とりわけ素晴らしい赤ワインを産する「コート・ドール」には「ニュイ」と「ボーヌ」という二つのタイプのあることを前回書かせていただきました。そして、ピエモンテのワインにも二つあるいは三つのタイプのあることを今回知っていただきたく思います。  ブルゴーニュとの違いはブルゴーニュではあくまでピノ・ノワールという葡萄のみが用いられているのに対し、ピエモンテでは「バローロ」、「バルバレスコ」といったワインを造り出す「ネッビオーロ」種だけではなく、「バルベーラ」と「ドルチェット」という別の葡萄品種で素晴らしいワインが造られているということです。  また、ブルゴーニュに「コート・ドール」という優れた地区があるように、ピエモンテにも「バローロ」、「バルバレスコ」を生み出す「アルバ地区」が「コート・ドール」に該当すると言えましょう。従って、探すべきは「バルべーラ・ダルバ」、「ドルチェット・ダルバ」という名のワインとなります。  バルベーラとドルチェットの違いと言えば、バルベーラの方が長熟用のワインが造られ、ドルチェットは早飲みタイプのワインが造られます。というのも、「バルベーラ・ダルバ」の多くは小さいオーク樽で熟成させ、「いまなおバローロやバルバレスコの蔭に隠れているとはいえ、その格ではもはや後れを取るものではない」とアンダースンは『イタリアワイン』(早川書房)で評しています。他方、「ドルチェト・ダルバ」は「フルーティーで生き生きしている。その最良のものには打ち勝ち難い魅力がある」とアンダースン。  というわけで、今回は「バルベーラ・ダルバ」を紹介させていただきます。造り手はボスコ・アゴスティーノ。父ピエトロ・ボスコが設立した4haほどの小さなワイナリーを父亡き後継いだ子息のアゴスティーノ氏によるカンティーナ。自然農法での丁寧な葡萄栽培、徹底した醸造管理での高品質のワインは高く評価されています。バリックで14~15ヶ月熟成させたワインはしっかりしたボディで様々な味わいが時と共に次々と現われる実に魅力的な出来とのこと。この機会に是非お試しあれ。 ご紹介のワインについてのお問い合わせは株式会社AVICOまで  略歴関 修(せき・おさむ) 一九六一年、東京生まれ。現在、明治大学他非常勤講師。専門は現代フランス思想、文化論。(一社)リーファーワイン協会理事。著書に『美男論序説』(夏目書房)、『隣の嵐くん』(サイゾー)など、翻訳にオクサラ『フーコーをどう読むか』(新泉社)、ピュドロフスキ『ピュドロさん、美食批評家はいったい何の役に立つんですか?』(新泉社)など多数。関修FACE BOOOK関修公式HP

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